2013年8月23日金曜日

減らぬ虐待、相次ぐ通報で職員疲弊 横須賀の児童相談所の1日

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児童虐待が減らない。厚生労働省によると、全国の児童相談所(児相)が平成24年度に対応した児童虐待の相談件数(速報値)は6万6807件(前年度比6888件増)で、過去最多を更新。相談に応じる職員の負担も増している。児相の設置は都道府県と政令指定都市に義務づけられている。猛暑が続く8月中旬、設置義務のない中核市で児相を持つ2自治体の一つ、神奈川県横須賀市の児相の1日に密着した。(道丸摩耶)

 里親制度

  「これから子供を里親に委託する式があります」
  午前11時、高橋ゆきえ所長(58)が笑顔を見せた。実父から虐待され児相に一時保護された中学生の真美さん=仮名=がこの日、里親となる夫婦との生活をスタートさせるのだ。親がいなかったり、実親に育てられるのが難しかったりする子供を家庭に迎え入れる里親制度。同市に里親登録しているのは25年3月末時点で18組で、24年度には新たに14人が委託された。多くは乳幼児で、中学生は珍しい。
  一時保護所では小学生たちの「お姉さん」として振る舞ってきた真美さん。この日から、「娘」としての生活がスタートする。「本当の家では、ずっと萎縮していた。しばらくは素の自分を出せないかもしれませんが、よろしくお願いします」。照れ笑いを浮かべ、小さく頭を下げた。
 高橋所長は「親に甘えるなど、家でできなかった経験をたくさんしてほしい。児相も支えていきます」とエールを送った。

 家庭訪問

  午後1時。電話が鳴る。
  「年中、母親が怒鳴っている。虐待ではないか」
  6歳男児への虐待を心配した近隣住民からだ。初期対応チームが、男児が通う学校に様子を聞く。深刻な虐待はなさそうだが、念のためその日のうちに家庭訪問を行うことにした。
  午後3時。再び電話が鳴る。市内の病院からだ。
  10代の女性に妊娠が発覚したが、育てられないという。臨月で、人工中絶もできない。本人や家族から事情を聴き、乳児院に預けるか里親を探すかを決める。
  多いときは、1日5件ほど電話がある。「集合住宅から泣き声が聞こえた」など曖昧な内容も多い。また、「虐待を疑われた保護者から怒鳴られるなど、精神的につらいことも多い」(職員)という。

 定期面談

  虐待という言葉が広まるとともに、児相は虐待だけを取り扱う場所との誤解も広がる。児相では罪を犯した子供や障害を持つ子供などの相談も扱う。「一時保護の子供を家に帰すなどの調整や、児童養護施設に預けた子供との面会、支援が必要な親子との定期面談など仕事内容は多岐にわたる」と宮崎哲雄副所長(53)は話す。
 面談や心理テストで親子関係を探り、家族の“再構築”にも関わる。職員は「アルコールや薬物依存を抱える親のケアは児相だけでは難しい。医療機関との連携が必要」と指摘する。
  全国的に身体的虐待が多いなか、同市ではネグレクト(育児放棄)や心理的虐待の相談件数が多い。健康福祉センターや学校、警察からの情報提供も多く、目に見えにくい虐待の掘り起こしができているといえる。
  一方で、子供が泣き出しただけでも通報があり、児相が出ていくことで「親が子育ての自信をなくしてしまうのではないか」(高橋所長)と悩むこともある。
  昨年度、全国の児相が相談を受けながら子供が死亡した例は22件起きた。中核市の予算規模では施設の新設や職員の増員は難しい。
  それでも「痛ましい事件を防ぐ」との強い思いで職員は仕事と向き合っている。


【用語解説】児童虐待
  殴る蹴るなどの「身体的虐待」▽性的行為をしたり見せたりする「性的虐待」▽世話をしない「ネグレクト」▽脅迫やドメスティックバイオレンスを見せるなどの「心理的虐待」-の4種に分類される。虐待を受けたと思われる子供を発見した場合、児童虐待防止法に基づき児童相談所などに通告しなければならない。通告を受けた児相は48時間以内に子供の安全を確認する。

 幼い時
 殴られ、脅され、と
確かに親も辛かったと思います。
でも減らないんですね。
 虐待。
 可愛そうな子が今もたくさん居るのが
世の中。
ツラいです。

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